会社を辞めてから就業するまでの期間、収入をカバーしてくれる「失業保険」のことをご存知でしょうか?
日本では、雇用保険の被保険者の方が、失業中の生活を心配せずに、新しい仕事を探し1日でも早く再就職できるように支援する失業保険という制度があります。
失業保険はハローワークへの申請が必要となり、支給される日数は離職日における年齢、雇用保険の被保険者であった期間や離職の理由などによって決定されるので、ちゃんと仕組みや条件を理解しておかないと、受給ができなくなってしまう可能性があります。
そこで、今回は退職前に知っておきたい失業保険の12のポイントを解説します。
知っておきたい失業保険のこと
①受給するには6ヵ月~1年間の勤続年数が必要
自己都合で会社を辞めた場合に失業保険を受給するには、原則、退職日の前2年間に雇用保険の被保険者期間(簡単に言うと在職期間)が12ヵ月以上必要です。
また、解雇や倒産など、やむを得ない事情により退職した方、つまり会社都合の方(特定受給資格者)は、退職日の前1年間に6ヵ月以上の雇用保険の被保険者期間が必要です。
ちなみに雇用保険の被保険者期間とは正確には、在職期間ではないので条件を満たす1年ピッタリで退職することを検討されている方は注意が必要です。
詳しくはハローワークの公式ページを確認するようにしてください。
②失業保険の給付額は退職前6ヵ月の総給与額÷180×給付率(45%~80%)
失業保険の給付額は、退職前6ヵ月の給与の総額を180日(6ヵ月)で割り1日あたりの賃金を出し、そこに給付率を掛け算することで算出されます。
給付率は退職時の年齢、賃金などによって異なり、45%~80%の範囲です。
ただし、計算する際の6ヵ月間の給与総額に賞与は含まれませんので注意が必要です。
③失業保険は最高でも日額8,250円が上限(2019年4月1日現在)
失業保険で受給できる1日あたりの金額を「基本手当日額」といいます。
この基本手当日額は年齢ごとに上限額が決まられており、30歳未満で「6,750円」。30歳以上45歳未満で「7,495円」。45歳以上60歳未満で「8,250円」。60歳以上65歳未満で「7,083円」となっています。
④給付日数は最低90日~最高360日の間
基本手当を受給できる日数(所定給付日数)は、離職の日における年齢、雇用保険の被保険者期間、離職理由などによって決まります。
所定給付日数は、90日~360日の間で、自己都合の場合だと雇用保険加入期間1年以上で「90日」、10年以上で「120日」、20年以上で「150日」となります。
会社都合の場合だと、年齢区分や雇用保険の被保険者期間により異なりますが、90日~240日の間で決まります。
就職困難者の場合でも、年齢区分や雇用保険の被保険者期間により異なりますが、150日~360日の間で決まることになっています。
就職困難者とは、1.身体障害者、2.知的障害者、3.精神障害者、4.刑法等の規定により保護観察に付された方、5.社会的事情により就職が著しく阻害されている方などが該当します。
⑤受給権利の有効期限は離職日より1年間
原則、失業保険を受給できる権利の有効期限は離職日より1年間ですが、期間中に病気やケガ、育児などが発生した場合には最長4年間まで延長することができます。
ただし、期間の延長には申請手続きが必要なので、管轄のハローワークにて相談することをおすすめします。
⑥自己都合退職だと辞めてからすぐには支給されない
失業保険は離職票を提出し、求職申し込みをしてから支給されるまで、一律に適用される待機期間(7日間)と呼ばれる制限期間があり、会社都合退職では待機期間満了後に直ちに支給が開始されますが、自発的に退職を申し出る自己都合退職の場合だと、さらに3カ月間の給付制限期間があります。
配偶者の転勤や家族の介護など、自己都合であっても正当な理由がある場合は、3ヵ月の給付制限はありません。
⑦受給するには離職票が必要
失業保険を受け取るには各種書類が必要ですが、忘れてはならないのが退職した会社から受け取る「離職票」です。
離職票とは、失業手当の受給に必要な書類のひとつで、一般的には退職日より10日前後で退職した会社より郵送で送られてくることが多いです。
もし、退職後2週間が経過しても手元に届かない場合は、会社側に請求しましょう。
その他に、「本人確認書類(免許証など)」「個人番号確認書類(マイナンバーカードや通知書など)」「縦3センチ×横5センチの正面上半身写真が2枚」「離職者本人名義の預金通帳やキャッシュカード」「印鑑(認印で可)」が必要です。
⑧受給手続きはまず、ハローワークで求職の申し込みをする
失業保険の手続きをする前には、ハローワーク(公共職業安定所)で求職の申し込みをしなければなりません。
求職の申し込みをする前に失業保険の手続きは出来ないので注意しましょう。
⑨雇用保険受給者初回説明会に参加する
簡単にいうと失業保険の仕組みや条件などの説明会です。
求職の申し込みをした際に案内されるので、指定された日時に説明会に参加しましょう。
⑩失業認定日になったらハローワークへ行く
失業保険の受給中は4週間に1回、指定された「失業認定日」にハローワークへ行く必要があります。
失業認定日では失業認定申告書を提出し、失業状態の認定を受けます。
もし行かなかった場合、やむを得ないと判断される状況以外は期間中の失業保険を受け取ることができなくなるので注意が必要です。
⑪失業認定期間中に行ったアルバイトなどの内容次第では受給できない可能性も
失業保険は就職するまでの収入がない期間をサポートする制度です。
ですので、失業保険の認定期間中にアルバイトなどをした場合は、その日分の支給が繰り越され、基本手当が支給されなかったり、減額されたりします。
もし、アルバイトなどをした場合は、必ずハローワークへ申告しましょう。
アルバイトなどをしたのに申告せず、失業保険を受け取った場合は不正受給の対象となるので、受給したお金は返金する必要があり、さらに支給された額の2倍に相当する金額の納付を命じられることもあります。
⑫失業認定されるには期間中に求職活動が必要
原則、失業保険が支給されるには、仕事に就く気持ちがあり、就職するために行動していると認められる必要があります。
そのため、失業認定期間中に2回以上の求職活動の実績が必要とされます。
具体的には求人への応募やハローワーク認定の就職支援セミナーの受講、ハローワーク窓口での職業についての相談、資格試験の受験などです。
終わりに
いかがでしたでしょうか。
今回は退職前に知っておきたい失業保険の12のポイントを解説しました。
もういちど振り返ると
①受給するには6ヵ月~1年間の勤続年数が必要
②失業保険の給付額は退職前6ヵ月の総給与額÷180×給付率(45%~80%)
③失業保険は最高でも日額8,250円が上限(2019年4月1日現在)
④給付日数は最低90日~最高360日の間
⑤受給権利の有効期限は離職日より1年間
⑥自己都合退職だと辞めてからすぐ支給されない
⑦受給するには離職票が必要
⑧受給手続きはまず、ハローワークで求職の申し込みをする
⑨雇用保険受給者初回説明会に参加する
⑩失業認定日になったらハローワークへ行く
⑪失業認定期間中に行ったアルバイトなどの内容次第では受給できない可能性も
⑫失業認定されるには期間中に求職活動が必要
失業保険を受給するのに必要な条件や手続きをちゃんと理解することで、受け取れないという事態を避けることができます。
退職を考えている方、退職されて失業中の方は失業保険を上手に活用してしてみてください。