住民税とは、都道府県が徴収する「都道府県民税」と、市町村が徴収する「市町村民税(東京23区では特別区民税)」の総称のことです。
地方自治体が行う教育、福祉、防災、ゴミ処理などの行政サービスの資金となります。
住民税は所得税とは仕組みが違い、税額は前年の収入によって決まるため、しっかり理解しておかないと退職してから予想外の金額を納付するはめになるかもしれません。
そこで今回は、退職前に知っておきたい住民税の4つのことを解説します。
目次
住民税について知っておきたいこと
①住民税は1年間の収入に税率を掛け算して翌年支払う
所得税と住民税で大きく違うのが税額の納付期間です。
所得税も住民税も一般的なサラリーマンの場合、勤務先が給与から税金を控除して支払うため、あまり納税している感覚がないかもしれません。
所得税と住民税の対象期間は共通して、年の1月1日から12月31日ですが、納付期間は違います。
所得税は収入に税率を掛け算して当年中に税金を納付します。
対して住民税は1年間の収入に税率を掛け算して「翌年(6月~5月)」に支払います。
例えば、2019年の所得税は、毎月の給与から源泉徴収(税金をあらかじめ給与から差引くこと)されて、年末に「年末調整」をすることで金額の調整を行い、税額が確定されます。
対して2019年の給与から天引きされる住民税(2019年6月~5月分)は2018年、または2017年の所得にかかわる金額です。
2019年の所得に対して課税される住民税は、2020年6月から支払うことになります。
つまり、住民税の支払いは実際に収入を得た年よりも後で行われます。
ですので、退職時に注意したいのが、前年に会社を辞めて「今年はまだ働いてないので税金がかからない」と勘違いすることです。
住民税は前述の通り、翌年に請求され納付する必要があるので注意しましょう。
②新卒が納付開始するのは一般的に翌年6月から
新社会人1年目の方が住民税を給与から天引きされることは通常ないです。
なぜなら、住民税は前年の所得に対してかかるものなので、学生最後の年の年間給与額が100万円を超えなければ、新卒年度については納税することはないからです。
ただし、地方自治体によっては住民税の課税要件が若干異なるので、ご自身の住まれている自治体のホームページで確認することをおすすめします。
なお、前年の所得が高い新卒の方は、会社に要請しない限り、一般的には普通徴収(自分で払う)で支払うことになるでしょう。
③6月1日から12月31日に退職した場合、普通徴収になる
6月1日から12月31日に退職した場合は、退職月の住民税は給与から天引きされ、退職月以降の残っている分については、普通徴収に切り替わって納税することになります。
④1月1日から5月31日に退職した場合、退職月の給与から5月分までを天引きされる
1月1日から5月31日に退職した場合、原則、退職月の給与から5月分までの住民税を一括で天引きされます。
終わりに
いかがでしたでしょうか。
今回は退職前に知っておきたい住民税の5つのことを解説しました。
もういちど振り返ると
①住民税は1年間の収入に税率を掛け算して翌年支払う
②新卒が納付開始するのは一般的に翌年6月から
③6月1日から12月31日に退職した場合、普通徴収になる
④1月1日から5月31日に退職した場合、退職月の給与から5月分までを天引きされる
住民税は1年間の収入に対して課税され、翌年6月から12ヵ月間支払うものです。
改めてしっかり理解をして、予想外の納税に慌てないようにしましょう!