先進国のなかで認知症患者が最多の日本。
自分や家族は大丈夫だと思っていても、発症してからでは遅いのです。
今回はそんな認知症について今すぐできる予防法をご紹介いたします。
目次
認知症とは
認知症とは、「さまざまな病気による脳の働きが低下しておこる一連の症状」をさす言葉で、認知症自体は病名ではありません。
認知症のうち、およそ半数は「アルツハイマー型認知症」です。
次に多いのが「レビー小体型認知症」、またその次に「血管性認知症」です。
上記が三大認知症といわれ、全体の約85%を占めます。
認知症の種類
アルツハイマー型認知症
認知症の原因の中で一番多いといわれます。
大脳の側頭葉、「海馬」の委縮が原因で発症します。
症状としては、もの忘れから始まり、進行すると大脳の機能が低下し、最終的には寝たきりの状態になります。
病状の進行は年単位でゆるやかに進んでいきます。
レビー小体型認知症
これは脳の側頭葉、後頭葉の萎縮が原因で発症します。
症状としては「幻視」が特徴です。
また手の震えや手足のこわばり、立ちくらみや失禁などの症状をともなう場合があります。
病状の進行は三大認知症の中で一番早いといわれています。
血管性認知症
これは脳の血管が詰まったり破れたりして発症します。
症状としては、脳の機能が低下するので、もの忘れや麻痺などの運動障害が特徴です。
前頭葉頭型認知症
これは前頭葉や側頭葉の萎縮が原因で発症します。
症状としては、落ち着かなくなったり、同じ行為を繰り返すことが特徴です。
また判断能力の低下で社会のルールに合わせることができなくなり
人前で排便をしたり、会計前の商品を食べてしまったりします。
甲状腺機能低下症
これは甲状腺の機能低下により全身の倦怠感、気力の低下や物忘れなどの症状があります。
ホルモン製剤の服用で、劇的に改善します。
脳腫瘍、慢性硬膜化血種、正常圧水頭症、脳血管障害等
これは転んで頭を打ったなど脳の血管や髄液に異常が発生した場合に認知症や運動麻痺が現れます。
これらの病気が原因の場合は外科手術や投薬治療により症状が改善される可能性が高くなります。
初期症状は?
多くの場合は「もの忘れ」からが多いようです。
また「理解力の低下」「判断力の低下」「集中力の低下」「作業能力の低下」も始まり
日常生活に支障をきたすようになります。
進行すると?
認知症が進行すると、食べたものだけでなく、食べたこと自体を忘れてしまいます。
また今いる場所を認識できないようになり、外出から戻れなくなったりします。
さらに過去の記憶をたどることや未来を予測することも出来なくなり、不安な感覚に陥るようになります。
その結果、落ち着かないようになったり、不安からくる焦燥や怒りが他者に向けた攻撃的行為として現れることがあります。
何歳から発症する可能性があるの?
厚生労働省の調査によると、特に40代から60代前半で発症する可能性が高いとされています。
しかし65歳以下で発症する「若年性アルツハイマー型認知症」というのもあり
早ければ高校生であっても発症する可能性があるのです。
治すことはできるの?
認知症に関しては世界中で研究が進んでいますが
残念ながら認知症を完全に治す治療法は未だ発見されていません。
そのため治療は、残された機能を維持しながら症状を抑え、
進行を遅らせることで、日常生活の支障となる部分を軽減したり改善したりすることが主になります。
防ぐことはできるの?
認知症で最も多い「アルツハイマー型認知症」は生活習慣と大きく関係することがわかってきています。
規則正しい生活や食生活、適度な運動や脳への刺激が効果的といわれています。
予防法
運動する
アメリカで報告された研究結果では、認知症予防に最も効果があるとされたのが「運動」です。
なかでもウォーキングなどの有酸素運動が効果的です。
無理をしすぎない程度の適度な運動を生活に取り入れると
生活習慣病の予防にもなるのでぜひ習慣化しましょう。
知的トレーニング
知的トレーニングとは、パズルや計算、間違い探しなど、脳を使うトレーニングのことです。
ちょっとした隙間時間に書店で買えるテキストでもいいですし、
スマートフォンのアプリでもいいので脳トレをするといいでしょう。
食生活の見直し
塩分や脂質の多い食材は高血圧や動脈硬化の原因となります。
また糖分の多いお菓子やうどんなど炭水化物中心の食事は糖尿病のリスクも高めます。
過度な糖分の摂取を控え、魚や野菜を取り入れたバランスの良い食事を心掛けましょう。
人に会う
アメリカの国立衛生研究所が発表した認知症予防のための生活習慣8カ条のなかに
人的交流など、人と接する社会的認知活動が入っています。
これは人と会うことで五感が刺激され脳に良い影響があるからです。
またハンドセラピーなど直接触れることも効果的で
相手に安心感を与え、不安を取り除く効果があるとされます。
新しいことに挑戦する
近年の研究では新しいことに挑戦するとアルツハイマー型認知症の予防に効果があるといわれています。
これは新しいことに挑戦すると、それまで使っていなかった神経や細胞が呼び起こされ
死んでいった細胞の代わりをしてくれるとされるからです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
もう一度振り返ると
・認知症とはさまざまな病気による脳機能の低下でおこる一連の症状のこと
・「アルツハイマー型認知症」が全体の半数を占める
・初期症状は多くの場合は「物忘れ」
・進行すると行動したこと自体を忘れしまったり、他者に攻撃的になったりする
・40代~60代前半で発症する可能性が高い
・「若年性アルツハイマー型認知症」は高校生くらいから発症の可能性がある
・完治することは難しいので予防が大切
・「アルツハイマー型認知症」は生活習慣と大きく関係する
・予防法として「運動」「知的トレーニング」「人と会う」「食生活の見直し」「新しいことへの挑戦」が効果的
認知症の発症にはいろいろな要因が複雑に関係しています。
発症する前に普段からできる予防に目を向けていくことが大切です。